高度の肝機能障害を伴っていたり、心臓病などの併存疾患の存在により外科的切除や薬物療法が適応外となるようなケースにおいては、腫瘍の局所制御を目的としてRFAが考慮される場合がまれにあります。切除可能な肝内胆管癌に対するRFAの効果は証明されておらず、肝内胆管癌を肝細胞癌と同じ感覚でRFAで治療することは推奨されません。図8でその理由を解説します。
 肝細胞癌は一定の大きさになると被膜を有するケースが多く、「膨張性」に発育します。最大径が2cmを超えるあたりから周囲に微小転移が増えてきますが、小さい腫瘍ではその頻度は少ないとされています。ですから肉眼的に見えている腫瘍よりも一回り大きく組織を焼灼・壊死に陥らせることができればがんを根治できる可能性が高まります。一方、肝内胆管癌や転移性肝癌のようないわゆる「腺癌」は、被膜を有さず、周囲に浸み込むように棘を出し、「浸潤性」に発育します。また周囲に微小転移が高頻度にみられることが知られています。腺癌は肝細胞癌のような球形ではなく、八頭状に発育しますので、肉眼的に見えている部分を焼灼しても、腫瘍本体から延びだしている棘の部分や微小病巣が残ってしまうリスクがあります。したがってごく一部のケースを除いて腺癌に対する焼灼治療は一般的ではありません。

図8. 肝細胞癌と腺癌の違い

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