肝内胆管癌は「腺癌」であり、胆管癌、胆嚢癌といった他の胆道癌と似た性質を持っていますので、胆管癌に一般的に用いられる化学療法に感受性があります。切除不能の肝内胆管癌に対しては、ゲムシタビン+シスプラチン併用療法(GC療法)、ゲムシタビン+S-1併用療法(GS療法)、ゲムシタビン+シスプラチン+S-1併用療法(GCS療法)が一次治療として推奨されており、一定の効果が期待できます。
 さらに近年、IDH1/2変異(10-23%)、FGFR2融合遺伝子(13-17%)など肝内胆管癌に特異的な遺伝子異常をターゲットとした分子標的薬が次々に登場してきており、2022年11月現在、本邦では「FGFR2融合遺伝子陽性の切除不能胆道がん」を適応症とするペミガチニブという薬剤が使用可能となっています。肝内胆管癌はそもそもまれな癌腫であり、遺伝子変異を有する肝内胆管癌もそれほど多いわけではありませんので、肝細胞癌や大腸癌のようにさまざまな薬剤の選択肢があるというわけではありませんが、ゲムシタビン、シスプラチン、S-1といった従来のいわゆる「抗がん剤」に加えて、いくつかの分子標的治療薬が近い将来使用可能となる予定です。

※2025年1月現在 抗PD-L1抗体であるデュルバルマブ(イミフィンジ)が使用可能であり、上記に加えてゲムシタビン+シスプラチン+デュルバルマブ併用療法(GCD療法)が標準治療の一つとして使用されています。またFGFR2融合遺伝子を有するケースに対する選択肢としてタスルグラチニブ(タスフィゴ)が2024年11月に加わりました。

書籍公開目次へもどる