大腸癌、神経内分泌腫瘍以外の肝転移に関しても、原発巣の進行度や悪性度、肝転移の状況によっては切除の効果が期待できる患者さんは少なからず存在しています。個人のシリーズでは食道癌の肝転移、胃癌の肝転移で10年以上生存しているケースも存在していますし、副腎癌、消化管間質腫瘍(GIST)、卵巣癌、乳癌の肝転移などでも長期生存例が存在しています。もちろん大腸癌や神経内分泌腫瘍以外の転移性肝癌は治癒が難しいケースが多く存在しますが、手術の効果が見込めない患者さんが多いからといって病名を見ただけで肝転移はすべて手術非適応と判断してしまうのは誤りです。難しい疾患、難しい症例ほど医師や診療チームの経験値の差が出てきますので、必要に応じてセカンドオピニオンを利用するなど他の医師の意見を聞いてみることも重要だと思います。
※大腸癌、神経内分泌腫瘍以外の肝転移に対する切除適応の判断は一般的に困難ですが、虎の門病院では肝胆膵外科、臨床腫瘍科が中心となって肝転移に特化した治療組織(転移性肝腫瘍高度集学的治療センター)を運営しており、適宜ご相談をお受けしています。