胆道とは肝臓でつくられる胆汁を十二指腸に運ぶ流路です。図4に示したように、肝臓内部の細い胆管が合流しながら、肝内への血管の流入部である「肝門部」という部分に集まり、そこから十二指腸に至るまでの部分を肝臓の外にある胆管、「肝外胆管」と呼びます。肝臓の内部の細い胆管に発生するがんは前述の「肝内胆管癌」であり、肝臓の外側に発生する「肝外胆管癌」とはやや性質が異なります。肝外の胆管は図にもあるように途中に脇道があり、その先に袋状の胆嚢がついています。胆嚢につながるこの脇道のことを胆嚢管といい、胆嚢管と胆管が合流する位置より上は図12のように、肝門部、上部胆管、中部胆管などといった領域に分けられます。一方、下側の部分は膵臓の中を貫いて走行し、この部分のことを下部胆管、そして十二指腸への出口であるVater乳頭という部分に分けられます。
 胆道がんは狭い意味では肝外胆管癌を指す言葉であり、がんが発生する位置により、肝門部領域胆管癌、胆嚢癌、下部胆管癌、十二指腸頭部癌などという呼び方をします。このうち胆嚢癌は悪性度が高く、リンパ節や肝臓への転移を高頻度に起こしますので一般的に膵臓癌と並び、特に予後の悪いがんに分類されます。一方、その他の胆管癌に関しては、癌が発生すると比較的早期に黄疸などの症状で見つかりますので、よほど進行してから見つかるということはそれほど多いわけでなく、きちんとした治療を行うことができれば治癒が得られるケースも多い癌腫です。

図12. 胆道(胆管・胆嚢)の解剖

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