膵頭十二指腸切除を行っても通常はもとの生活に戻れますが、膵臓が一部なくなることで消化能力が落ちますので、消化剤を内服してもらったり、体が慣れるまでは消化の良い食事、脂質を控えた食事を心がけてもらうこともあります。もともと糖尿病あるいは耐糖能異常のある方の場合は、インスリンの出が少し悪くなることによって若干血糖値が上がることもありますので、血糖コントロールが必要となることがあります。
この手術を行うと多くの場合、術後1か月前後で最も体重が落ちますが、そこから徐々に回復し、術後3か月程度で食事量も栄養状態も戻ってくるのが典型的なパターンです。ですから、術後早期に食事がなかなか進まない、体力が戻らないと焦らず、ゆっくりとリハビリを行うことが大切です。ある程度時間が経過すれば気を付けるべきことはあまりありませんが、この手術では胆管が切除され小腸と胆管断端を直接吻合しますので、頻度はそこまで高いわけではありませんが胆管炎を起こすリスクがずっとついて回ります。胆管炎は典型的には感冒症状なく突然発熱するという発症の仕方をします。抗生剤を処方してもらっている場合はまずその内服を開始してもらい、それでも熱が下がらなかったり症状が強くてぐったりしてしまうような場合は救急外来を受診することが必要となります。