膵癌の手術には大きく分けて3つの方法があり、癌の発生した位置や進展範囲によって方法が決まります。図16のように、膵臓の頭部にできた腫瘍は胆道癌の項で述べた膵頭十二指腸切除術、膵臓の体部や尾部に癌ができた場合は膵体尾部切除術が必要となります。いずれもリンパ節や神経を同時に切除してくるような根治的な切除が必要となりますので、胆道癌よりの場合よりも一層深い位置で慎重な操作が求められます。

膵体尾部切除術は膵臓のしっぽの方を切り取る方法ですので消化管再建がなく、膵頭部癌の手術に比べると比較的シンプルな手術にはなりますが、膵癌の進展範囲によっては胃や肝臓を栄養する動脈を根元で切って大きめに切除するなど、複雑な操作が必要となることがあります。膵頭十二指腸切除術は胃の出口、十二指腸、胆嚢・胆管、膵頭部がすべてなくなってしまいますので、小腸を用いて食べ物の通り道や胆汁、膵液の流入部を再建する必要があります。再建の方法は様々あり、施設や医師によってやり方が異なりますが、図17に代表的な再建方法を示します。

膵癌の手術で最も困るのは膵頭部と膵体部の境目である膵頸部に癌が発生した場合です。小さめの腫瘍でも尾部側から切除すべきか、頭部側から切除をすべきかという問題に加え、その裏側に存在する門脈や周囲血管への浸潤を来している場合は非常に難しい手術になります。また膵癌の進展範囲が広い場合は膵臓を全摘出してくる必要があります(図16)。膵全摘術では膵臓がなくなりますので膵液漏は起こりませんが、一生インスリン注射が必要となります。