腹膜播種に関して現在有効な治療手段は抗癌剤治療のみです。腹膜播種は腹腔内にがん細胞が散らばってしまっている状況ですので、目に見えていない細胞がどこに散らばってしまっているかの判断は困難で、例えば手術で目に見えるものを切除するだけでは治すことができません。したがって、例え微小な病変でも腹膜播種が確認された場合は切除の効果を期待することはできず、全身に効かせる治療が必要になります。温熱療法や抗癌剤の腹腔内投与なども研究として行われてきましたが、これらは現在のところ標準治療にはなっていません。

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