神経内分泌腫瘍(neuroendocine neoplasm:NEN)とは消化器に発生する比較的稀な腫瘍で、多くは膵臓と消化管に発生します。昔は癌に似ている性質を持った特殊な腫瘍という意味で「カルチノイド」と呼ばれていた腫瘍です。NENは良性と悪性の中間の性質をもった腫瘍ととらえるのが正しく、正確にはほぼ良性のものと、がんに近い振る舞いを示すものがあり、またホルモンを作っているかどうかで機能性、非機能性という分類がなされます。ほとんどはホルモンを産生しない「非機能性」の腫瘍です。

神経内分泌癌(NEC)という悪性度の高い腫瘍を除き、通常のNENの場合、大きさに寄らず切除可能なものは基本的に切除を軸とした治療が必要になります(※最近では小さいものは経過観察とされることもあります)。NENは正確にはがんではありませんが、がんに近い性質をもった腫瘍ですので、がんに準じた治療が必要であり、手術以外に根治を期待できる治療法はありません。

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