NENは大腸癌とならび肝転移があっても切除による予後改善効果が期待できる腫瘍の一つです。治癒切除が可能なケースでは切除を中心とした集学的治療がガイドラインでも推奨されており、膵臓の原発巣、肝臓の転移巣のいずれも切除可能であれば、切除が基本です。これ以外に治癒を期待できる治療法はありません。
神経内分泌腫瘍は成長が比較的緩やかであり、切除ができないほど多数の転移巣が確認された場合でも、それが肝臓だけに限局している場合は、減量切除(腫瘍の大半を切除してくること)を行うことができれば生命予後、QOL改善されるとの報告があり、大腸癌肝転移とは異なり、腫瘍が少し残ってしまう場合でも90%以上の切除を目標に減量切除を行うことがあります。減量切除を行った方がその後薬物治療を追加するとしても効きやすいという報告も出されています。
尚、膵臓と肝臓の同時切除は肝切除の程度にもよりますが、身体に負担のかかる手術ですので症例ごとに適応が慎重に決められます。

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