膵癌のリスクファクターでも触れたように、血縁の親族に膵癌患者がいる場合は膵癌のリスクが上昇します。また、親子、兄弟姉妹に2人以上膵癌患者がいるケースは家族性膵癌家系と定義され、膵癌の既往のある人数が多いほど、ご自身も膵癌を発症するリスクは上昇します。ただし、例えば遺伝子検査をして何か異常が分かっても、それが膵癌の早期発見や治療に役立つことは現在のところありません。
家族性膵癌家系の実態に関しては未だ不明な点が多く、現時点で決められたスクリーニング法や遺伝性乳癌のように臓器の予防的切除の推奨はありません。しかし血縁者に膵癌患者が存在する場合は膵癌の発症リスクが数倍になりますので、人間ドックや検診などで定期的な検査を受けておくことは自分の身を守るという上で重要だと思います。

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