紹介状や画像データなしでのセカンドオピニオンは医学的判断が困難ですので基本的に受けることはできません。一生懸命やってくれている主治医に悪いと思って言い出しにくい、主治医が怖くて言えない、お願いしようとしたら主治医が機嫌を損ねてもうここでは治療しないと言われた、色々な事情があるとは思いますが、ご自身の中で治療に関して迷いや違和感がある以上、セカンドオピニオンを検討することは時には重要です。
 患者さんはあなた自身であって、これはあなたの人生に関わることです。主治医の人生ではありません。ご自身でセカンドオピニオンを聞いてみたいという気持ちがあるのならば主治医に素直に話してみましょう。「先生の提示される治療が推奨治療であることはわかります。でも、気持ちに踏ん切りがつかないので、他の病院の先生の意見も一度聞いてみるということもできますか?」といった聞き方でもよいでしょう。
 ただし、知っておかなくてはいけないことは、セカンドオピニオンの目的はあくまで2番目の意見を求めることであり、現在の主治医の考え方が正しいかどうかを聞きに行くものではないということです。我々が提示するものはあくまで我々の「考え方」や「意見」であって、現在の主治医の考え方に対する批判ではありません。話を聞いてどちらの意見がしっくりくるかを判断するのは患者さん自身です。
セカンドオピニオンに持参する資料の準備は大変ですのですぐその場で書いてほしいというのは無理です。ですからセカンドオピニオンの意義をよく考え、3件も4件も依頼するのはやめましょう。セカンドオピニオンはドクターショッピングではありません。目的をはっきりさせて依頼すれば紹介状を書いてくれるはずです。主治医を信頼し、納得して治療を受ける上でこれは時に大切なステップになります。

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